2021.01.15

プレイン・ランゲージによる具体的な成果

Joe Kimble(ジョー キンブル), ウェスタンミシガン大学 名誉教授

ウェスタンミシガン大学クーリー法科大学院にて30年間、リーガルライティングを教える。これまでに出版した論文は多岐にわたり、全米および海外で175以上のセミナーやプレゼンテーションを実施。『The Scribes Journal of Legal Writing』のシニアエディター(元編集長)、『Michigan Bar Journal』の「Plain Language」コラムの編集者、Center for Plain Languageの創設ディレクター、国際組織Clarityの元会長、連邦裁判所全規則のリーガル起稿コンサルタント。著書『Writing for Dollars, Writing to Please』


プレイン・ランゲージを使うことで、時間と経費を削減することができます。これは情報の受け手にとっても同様です。政府が民間に情報を開示する際にプレイン・ランゲージを使うと、規制に対する順守率も高まります。
『Writing for Dollars, Writing to Please』に掲載されている実例から具体的な成果を見ていきましょう。

プレイン・ランゲージを使うと問い合わせ電話の件数が減少

電話の件数従来の案内プレイン・ランゲージでの案内
担当者1人が対応する月間電話数9416
年間の合計1,128192

出典:米国ジャクソンMS事務所、退役軍人給付金様式

プレイン・ランゲージで問題解決までの時間を短縮
米国連邦通信委員会(FCC)がプレジャーボート用無線について定める要件について、ユーザーに数点の質問をしました。質問の答えは、規制に記載されており、そこから回答を探してもらいます。回答までにかかった時間の平均を比較しています。

ユーザーの種類従来の規制プレイン・ランゲージで書かれた規制
プレジャーボート無線経験者2.431.50
プレジャーボート無線未経験者3.511.73

プレイン・ランゲージでミスが減少
・従来の様式:40%
・プレイン・ランゲージを使った様式:20%
出典:カナダ政府、木の無料配布申請様式

プレイン・ランゲージで順守率が向上
・従来の様式:40%
・プレイン・ランゲージを使った様式:95%
出典:カナダ政府、家畜登録をするために必要な政府証明書

もっとも注目すべき効果は政府の経費削減
ここまで、政府の経費削減につながった例の一部を紹介してきました。ここではさらに具体的な数値で経費削減の例を紹介します。

  1. プレイン・ランゲージを使って作成された最初の規制は、米国連邦通信委員会(FCC)による無線ラジオ規制でした。規制をプレイン・ランゲージに変更した数か月後から、FCCに寄せられる電話や手紙の数が激減しました。従来は質問の電話や手紙に5人で対応していましたが、問い合わせ数が減ったため5人は別部門に異動となりました。
  2. 米国退役軍人給付管理局(VBA)では数年に一度、すべての退役軍人に案内を送付します。案内の目的は、登録している受益者を更新してもらうことにあります。登録が有効でいないと、退役軍人が死亡した際にVBAのスタッフが受益者を探し、確認する必要があります。当初、この案内に対する返信率は43%でした。しかし、案内をプレイン・ランゲージで書き直したところ、返信率が65%まで向上しました。結果、VBAは440万ドル相当の労働時間を削減することができました。

プレイン・ランゲージを使って政府と市民の関係を改善することができます。アリゾナ州税務署のプロジェクトでの成功例を紹介します。

2006年、アリゾナ州税務局では、約400種類の様式をプレイン・ランゲージを使った形式に改訂しました。シンプルで、整理された、端的な表現を使用し、税理士のサポートがなくても、内容が伝わる様式を目指しました。

2008年の前半の時点での成果:
2007年には、プレイン・イングリッシュに書き直す前である前年に比べ、電話での問い合わせ数が18,000件減少しています。これによりスタッフは別の仕事に時間を使えるようになり、申請処理数が30,000件アップしました。

同じ質問に繰り返し答える必要がなくなり、スタッフの仕事に対する満足度も上がりました。

アンケートによると、市民の満足度も上がりました。税務局の代表は次のように述べています。「市民は『自分が何をする必要があるか』がわかり、満足度の向上につながっています。プレイン・ランゲージはスタッフと市民に良い影響を与えました」

出典:Plain Language: The Bottom Line | plainlanguage.gov